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お知らせ&レポート

プログラムレポート(2025.08.04-05実施分)

#ファッションアカデミー
スタッフ: chie
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プログラムの初日にテキスタイルの基本を学んだ《ファッションアカデミー》参加者たち。8月4日月曜日からは、いよいよぬいぐるみの洋服づくりです。翌5日火曜日までの2日間、作業に取り組みました。

会場は、有楽町駅前にあるTokyo Innovation Base。通称TIBと呼ばれる、スタートアップ企業を支援する東京都の施設です。

4日お昼、およそ100名の参加者たちは2階で受付を済ませると大きな部屋に案内され、入口で引いたくじに従って白か生成り、または黒のぬいぐるみをそれぞれ1体ずつ受け取りました。

ぬいぐるみは、ファッションプロジェクトを監修するコシノヒロコ先生の愛犬をモチーフにつくったオリジナルです。                                         手足が長く、人間の洋服をつくる感覚で衣装を着せつけられます。

大きく4つのグループに分かれ、さらに数名ずつ着席したテーブルの上には、小さな生地が何種類も入った袋がひとり1セット用意され、針と糸を使えない低学年の参加者のために両面テープなども。そして会場内の数カ所には、気に入ったものを好きなだけ使えるよう大きな生地や、ボタン、リボンなどの小物類もふんだんに準備されました。                                                       すべて、過去にHIROKO KOSHINOのコレクションに使用された生地の貴重な端切れや、今回のプログラムのため、たくさんのメーカーさんから提供いただいた小物や材料です。

 

 

さっそく作業に取り掛かりたくなりますが、洋服づくり初心者たちのために、まずはレクチャー。 お手本として、ヒロコ先生がぬいぐるみの身体に直接布地を当てながら洋服を仕立て、全身をコーディネートする動画を見ました。さらに、タックやギャザーの寄せ方などをまとめた映像も見て、基本的な技術について学んだ参加者たち。持参した裁縫セットやハサミを手に、それぞれの作業に入ります。

会場内には、講師のヒロコ先生と小篠ゆま先生のほか、HIROKO KOSHINOのデザイナーやモデリスト(デザイン画から型紙を作成して立体化する専門家)など服飾のプロたちがスタッフとして立ち会いました。子どもたちは、ひとりひとりに配布された生地セットのほか、会場内に準備された生地類から気に入ったものを選んでカットしてもらい、あるいは自分でカットし、リボンなどの小物類も自在に組み合わせて、それぞれ自由な発想でぬいぐるみの衣装を仕立ててゆきます。難しい部分については専門スタッフの手助けを得ながら、個々の作業に集中して取り組む姿がとても印象的でした。100人もの参加者がいれば、個性も100通り。プログラムに応募する時に描いたデザイン画を忠実に再現しようとする子もいれば、材料を組み合わせてその場でどんどん変えてゆく参加者も。カラフルな取り合わせを楽しむ人も、素材違いのオールブラックでまとめる人もいて、ヴァリエーション豊かなクリエイティビティが会場内で炸裂するようでした。

ぬいぐるみの洋服づくり初日はあっという間に終了時間を迎え、ほとんどの参加者は自分のぬいぐるみを家に持ち帰りました。翌日に仕上げるため作業の続きをする人もいたでしょうし、考え直して一部やり直しをした子どももいたようです。                              翌日、バージョンアップして戻ってきたぬいぐるみがたくさんいました。

翌5日の講座は、ヒロコ先生のライブドローイングから始まりました。ゆま先生をモデルに、その服装のスタイル画を大きな模造紙いっぱいに描きます。使うのは筆1本。細い線も太い線も自由自在に描けることが筆の魅力だとヒロコ先生は語り、参加者たちは近くに集まって熱心にその様子を観察していました。

 

その後は、それぞれ洋服づくりの作業に戻る一方で、4つのグループが順番に先生たちとの記念写真撮影。                                                           撮影してくださったのは、「こどもファッションプロジェクト」のもう一つのプログラム《ファッションムービー制作》でスチールカメラコースの講師を務めるファッションフォトグラファーのZIGEN先生です。パリや東京をはじめ世界中のファッション現場で仕事をしてきたZIGEN先生ですが、子どもたちばかりこんなに大勢を撮影したのは初めての経験だったのではないでしょうか。参加者たちはそれぞれ、自分のぬいぐるみを胸に抱いたり肩に乗せたり、つくった洋服もさることながら参加者それぞれの個性もよく現れた記念撮影大会でした。

集合写真撮影後は、洋服づくりを終えた子どもたちから順番に、脱げたり取れたりしていないか先生やスタッフの最終チェックを受け、今度はひとりずつそれぞれのぬいぐるみとのツーショット写真を撮影。ぬいぐるみは12月21日の成果発表会で展示され、その後も展示予定があるため、参加者たちは持ち帰ることができません。せめて写真だけでも、と、ZIGEN先生が一肌脱いで協力してくれました。全員のぬいぐるみが展示される日を楽しみに帰って行った参加者のもとへ、後日、集合写真と個別の写真をそれぞれ運営事務局からお届けしています。

こうして《ファッションアカデミー》は、無事に全員が洋服を仕上げて終了しました。参加者の8割が小学生で、2日間で洋服づくりが完成するのか少し心配もありましたが、蓋を開けてみると初日でほぼ完了してしまった子もいたり、一方で最終日の時間ギリギリまでブラッシュアップしている人もいたり、まさに100人100様でした。さらには、100体近い作品が一堂に会してもどれ一つ似た作品が無く、これにはコシノヒロコ先生をはじめスタッフみな感嘆しました。人の個性は本来これほどまでに多様であるということに、あらためて気づかされ学んだプログラムでした。